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22 クレーム電話の応対

-社会人なら、一度くらいは直面するもの-

チェックポイント

①「売り言葉に買い言葉」は厳禁。冷静に

②「相手中心」で、話しに耳を傾ける

③困ったときは、上司に相談

くり返し電話に出ていれば、出会って当たり前

 社会人として仕事をしていれば、クレーム電話を受ける機会もあるかもしれません。

 消費者の1人として、まっとうな意見を言ってくれるお客様もいらっしゃいます。そのような意見は、むしろありがたいことです。どれだけ厳しい言葉であっても、熱心に耳を傾けましょう。

 しかし、中には悪質なクレーマーや無理難題を押しつけてくる人たちもいます。こうした電話に対しても、マナーの心で応対すれば、win-winの結果を生み出せます。

▶クレーム電話への応対で、絶対にな守るべき心がけ

●対抗しない

 どんなにお客様が怒っていたり、ひどい言葉をかけてきても、あなたは常に感じのよい声で応対しましょう。「売り言葉に買い言葉」は最悪の結果をもたらします。

●批判しない

 お客様の言い分に筋が通らないことがあっても、そのこと批判するのは逆効果。お客様お勘定的にしてしまったら、どれだけ冷静に説明しても、話しがまとまりません。

▶マナーの基本である「相手中心」の立場で

 これまでも何度かお話ししてきましたが、マナーは「相手中心」で考えることが基本です。クレーム対応においても、お客様の立場に立って考えてみることです。それにより、新たな発見があるかもしれません。

 たとえば、あなたが激しい怒りを感じたとき、言ってもらいたい言葉はなんでしょうか?

 クレームの電話をかけてきたお客様は、キットお詫びの言葉が聞きたいはずです。電話を受けたら、お詫びの気持ちを伝えましょう。

 ただし、最初に口にするお詫びとは、クレームそのものに対するものではありません。どのような理由で荒れ、お客様を不快にさせて、電話までかけさせてしまったことへのお詫びです。

 この気持ちを持って接していれば、冷静さも保ちやすくなります。実際に口にする言葉は、次のような物がいいでしょう。

「それは大変失礼をいたしました」

 クレーム対応の基本は、相手の言葉を認めることです。実際、お客様のクレームに耳を傾けていると、明らかに会社側にミスという場合もあります。そうしたときは会社の一員として、真摯にお詫びをします。

 一方で、お客様の誤解や勘違いだったり、最初から不要な要求目当てと言うこともあります。こうした人たちに振り回されないように、ビジネスマナーを守りつつも、言い回しには注意を払いましょう。

 最初から「申し訳ございません!申し訳ございません!」と平謝りをしてしまうと、言葉尻を捉えて、不当な要求をしてくる消費者もいるかもしれません。

▶クレーム内容を確認して、対処法を提案

 クレームの電話を受けたときは、「さっさと切り上げたいなぁ」などと思ってはいけません。

 あなたが思っていることは、必ず声や言い回しに表れます。お客様は敏感に察して、なおさら感情を高ぶらせることでしょう。

 まずは、じっくりと話を聞くこと。真摯に耳を傾けていれば、お客様がどうして怒っているのか、何を望んでいるのがわかってきます。

 そうして概要がわかってきたら、お客様にクレーム内容の確認をします。

 「弊社の商品を購入したら、3日ほどで壊れてしまったということですね」

 個々で間違った理解をしていたら、お客様の満足する対応ができません。場合によっては、更に感情的にさせてしまいます。相手の意見はその都度、復唱確認をしましょう。

 クレームの内容が確認出来たら、対処法を提案します。

 「新品とお取り替えしようと思うのですが、いかがでしょうか」

 会社側の対処法としては、代替品の用意、割引、技術者の派遣などといった対応が考えられます。いずれを提案する場合でも、「いかがでしょうか」とお客様に選んでもらう姿勢を示すことが大切です。個々でもあなたが、「これで満足するだろう」といった意識を持っていると、そのことが言葉や声の表情に表れます。お詫びや対処法の提案は、お客様のプライドを逆なでしないように、誠実に行いましょう。

▶納得してもらえないときは、上司に相談

 あなたの手に余ると思ったときは、素直に上司に助けを求めましょう。

 ストレートに「上司と相談をしてからかけ直します」といった言い方をしてしまうと、責任逃れをしているように受け取られます。

 上司に相談するときは、次のような言い方でうかがいます。

 「担当の者から折り返しお電話させていただいても、よろしいでしょうか」

 この言い方は「担当のより詳しい人間が応対する」ということですから、納得してもらえる可能性が高まります。電話を切ることで、クレーム内容や経緯を上司に伝えて、相談する時間も確保できます。

 また、一度電話を切ることで、冷却期間が確保できます。

 電話口で激怒していたお客様も、電話を切って1人になると、気持ちが落ち着いてくるかもしれません。折り返し電話をかけたら、打って変わって、静かな口調になっていることもあるのです。

 いずれにしても、お客様が冷静になってくれたら、問題解決に大きく近づきます。

▶問題が解決してからの「最後の一言」が大切

 無事にお客様が納得してくれて、問題が解決しました。そのときは次のように告げてから、お客様が受話器を置くのを待って、電話を切りましょう。

 「申し訳ございませんでした。どうぞ今後とも、弊社をよろしくお願い申し上げます」

 最後に「どうぞ今後とも、弊社をよろしくお願い申し上げます」と添えるのは、会社のPRが目的ではありません。「いただいた言葉を次につなげます」との決意の表れです。

 多くの謝罪会見が、消費者を納得させられないのは、「誤ったら終わり」といった姿勢が感じ取れるからです。そのような考え方でクレーム対応をしていても、お客様の心には響きません。

 クレームには筋の通ったものもたくさんあります。お客様の要望を正しく聞き出し、取り入れることで、会社は成長していきます。そこで働いているあなたも、一人前に近づいていくことでしょう。

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